駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.340

第35回「体力・気力・努力」

小谷野 香澄

 駅伝ひろばをご覧の皆様、こんにちは。関東学生陸上競技連盟で常任幹事を務めております、4年の小谷野香澄と申します。駅伝ひろばが掲載される時期になると、箱根駅伝が始まるというお知らせのようで、今年も1年経つのが早かったなと感じます。

 私は前回の箱根駅伝に引き続き、ポスターとプログラムの担当をさせていただきました。第100回記念大会のポスターは例年より作成時期が早く、第99回大会終了直後から制作が始まり、関東学連の歴代の先輩方や役員の方々からご意見を頂戴しながら学生間で多くの意見を出し合いました。ポスター制作過程において箱根駅伝の歴史と伝統を学び、初めて知ることも多くあり、箱根駅伝という歴史のある大会に関わらせていただける経験は光栄でかけがえのないものだと実感しました。そして、プログラム作成過程でも箱根駅伝の歴史を学びました。その際、マラソンの父として知られる熊本県和水町出身の金栗四三氏が残した「体力とは心身の健康、気力とは初志貫徹の意志力、努力とは忍耐の継続」という言葉に共感し、活動をする上での原動力となりました。金栗氏のこの言葉は箱根駅伝を走る選手に向けて語った言葉だったかもしれませんが、運営する私たちにも響く言葉でありました。

 ここで、少し私のお話をさせていただきます。私は大学に6年間通いました。6年間を振り返ると、体力・気力・努力の限界を突破したような瞬間がいくつもありました。初めて書かせていただいた駅伝ひろばに「迷い」(98回大会.2021-12-21掲載)というタイトルをつけた当時は、2年間通った薬科大学を退学した後に現在の大学に入学し、関東学連の学連幹事として活動を始めたことに迷いがあり、ふとした時に周回遅れをしたような不安に襲われながらも、関東学連の大会運営に携わり、競技会を支えたいという一心が変わらずに在り続けました。迷いを感じる度に自分の軸を見つけ出し、原点に立ち返ることで自らを奮い立たせ、邁進することができました。これは、私の中に変わらず在る一心の初志貫徹の意志力、つまり、気力で押し切っていたのだと思います。しかし、それと同時に、計画していたことがうまくいかずに自分自身の未熟さを痛感して落ち込むこと、周囲との熱量の差を感じて気付かないうちに我慢を強いられていたことで、心身の健康が損なわれた場面や忍耐の限界を感じる場面が多々あり、登校が難しくなった時期や準備した大会の当日に参加できなかったこともありました。懸命に取り組みたいことが目の前にあっても、体力・気力・努力を一定以上に保ち続けることは難しく、そのどれかが崩れる度に自身の不甲斐なさ、苦しみを感じておりました。駅伝ひろばを書いている今もプログラムが校了したばかりのタイミングでほっとしておりますが、振り返ると予想もしなかった様々な出来事があり、学業や中継所の準備業務等との両立に体力の限界を感じながらも努力を続けて気力で押し切っていたなと感じております。

 このように私にとっての大学生活は、たくさん悩み、苦しみ苦しみ苦しみながらも楽しみ、多くのことを学び、多くの方々に出会えた6年間となりました。苦しみは多かったですが、学連幹事としての活動をまもなく終了する今日、早く苦しみから解放されたいと思いながらも「この選択をして良かった」と思う自分がいることが嬉しく、この気持ちが少し愛おしく感じます。さらに、これからも陸上競技の運営に携わりたいという目標がありますので、今後はより一層に体力・気力・努力の両立を目指し、より良い競技会運営を目指してまいります。

 さて、箱根駅伝当日は小田原中継所を担当する予定です。第95回大会から走路員として携わった箱根駅伝。第100回大会では関東学連の学連幹事の最上級生として様々な準備を主体的にさせていただきました。関東学連の学連幹事として携わるようになってから、非常に多くの方々のご理解とご協力があって開催が実現できるということを実感し、年々やる気と責任感が増しておりました。関東学連の学連幹事として携わる最後の第100回大会も、出場する選手や大会を支えてくださる皆様、応援・観戦してくださる皆様への感謝の気持ちを忘れずに残りの時間も気を引き締めて準備してまいります。

 拙い文章ではありましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。大会当日、新春の箱根路を駆け抜ける選手たちへ熱いご声援をよろしくお願いいたします。