駅伝ひろばをご覧のみなさま、こんにちは。一般社団法人関東学生陸上競技連盟で幹事を務めております、順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツマネジメントコース4年の大谷晴海と申します。このタイトルで駅伝ひろばの原稿を書かせていただくのも、いよいよ最後となりました。私は1年生の時から、スポーツ基本法に基づき文部科学省が策定した、スポーツ基本計画の基本方針である、この「する・みる・ささえる」ということを念頭に置き毎年筆をとってきましたが、今回は第3期スポーツ基本計画(2022)で新たに加わった3つの視点のなかの3つめにあたる「スポーツに誰もがアクセスできる」という視点に着目したいと思います。
今年は東京2025世界陸上競技選手権大会が開催され、関東学連所属の選手やOB・OGが多数出場しました。私たち関東学連幹事も競技役員として大会に携わり、国立競技場が満員の観客で埋め尽くされる光景を目の当たりにしました。「陸上競技で国立を満員にする」――それは私の夢でもあり、その実現に立ち会えたことに深く感動しました。選手として、観客として、そして支える役割として、多様な立場の人々が陸上競技にアクセスし、ひとつの空間で熱を共有する姿は、「スポーツの力」そのものだと感じます。
学連幹事として活動する中で、私はトラック&フィールドの大会ではインフォメーションを務めており、選手や観客のみなさんと最初と最後に顔を合わせる立場にあります。その際に「ありがとう」と声をかけてもらえる瞬間は、どんなにつらくても「やってよかった」と思える大きな励みになります。それは「ささえる」立場にある私自身が、実は多くの人に支えられてきたのだと実感する出来事でもあります。
コロナ禍には現地での応援をお控えいただいて開催された箱根駅伝も、画面を通してだけでなく、再び多くの人が沿道で応援できる環境へと近づいています。声援や拍手が選手の背中を押し、距離を超えて心をつなぐその瞬間こそが、「誰もがスポーツにアクセスできる」という理念の表れではないでしょうか。
私は今回、小田原中継所の主任を務める予定です。「箱根の山は天下の険」と謳われ、「山を制する者は箱根駅伝を制す」とも言われる、選手にとっても応援する人にとっても、往路のフィニッシュを目指す山上り、復路のスタートの山下りという大きなカギを握るこの場所で、滞りなくたすきがつながるよう準備を進めてまいりました。4年生として迎える最後の箱根駅伝、学連幹事としての活動の集大成として、これまで支えてくださった方々への感謝を胸に刻みながら臨みます。
本大会が、国立競技場での満員の感動に続き、多くの人がスポーツの価値を実感できる舞台となることを願っております。そして私自身も、この経験を糧に、これからも「する・みる・ささえる」の精神を忘れず、アスリートファーストの理念を大切に歩んでいきたいと思います。最後に、応援してくださるみなさまへ。みなさまの一つひとつの声援が、選手の力となり、たすきを前へと運びます。どうかそれぞれの場所から、この箱根駅伝をともに盛り上げていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回はスタート・フィニッシュ主任の前田優花です。トラック&フィールドの大会では進行・アナウンスを務めていました。競技場に響き渡る一際ハキハキとした声の持ち主は彼女です。その竹を割ったような性格の彼女が、最後の駅伝ひろばで、どのような切り口で綴ってくれるのか、ご期待ください!