平塚中継所の主任を担当します、駒澤大学文学部社会学科社会福祉学専攻の野口あやねです。
関東学連主催の大会で公式プログラムをご購入されたことがある方も多くいらっしゃると思いますが、私は、そこに掲載する写真を選んだり、原稿の作成を各担当者に割り振ったり、印刷会社とのやり取りをするなど、印刷物に係る仕事を担当しています。プログラムの他にも、大会ポスター、入場チケット、招待状などの作成も行っています。「私の写真が入場チケットに使われて嬉しかった」と、とある選手にコメントをいただいたことがあり、普段は表舞台に立つわけではない私たちが行ったひとつの仕事が、実際に選手の目にも届いたような気がして、このときはとてもやりがいを感じました。「選手にとってより良い競技環境を提供する」という学連の仕事は、残念ながら成功が目に見えて分かるものばかりではないと思います。しかし、この印刷の仕事はプログラムやポスターなどのような「ひとつのモノ」として完成するものなので、成功も失敗も形として残ります。また、大会を観に来ていただいたお客様にご購入いただくものでもあるので、完成後も大切に扱わなければなりません。細かなところにも注意を払い、ひとつのモノを創り上げていく。それがこの仕事をする上での魅力だと考えています。
それでは、箱根駅伝当日私が担当する平塚中継所の紹介に移ります。
★中継所の概要
平塚中継所は、JR東海道線「大磯」駅から徒歩15分ほどの海岸沿いに位置し、往路は3区から4区へ、復路は7区から8区への襷リレーが行われます。往路ではスタートしてまもなく海岸線を離れ、大磯駅前歩道橋から再び国道1号線へ入るコースとなっていますが、復路では大磯駅前歩道橋を直進し海岸線に戻る別コースとなっています。
また、花水レストハウス附帯の駐車場(当日は関係者以外の駐車はご遠慮いただいております)には大型ビジョンを設置しています。近年、中継所付近で観戦されるお客様が多く大変混雑をしておりますが、こちらの大型ビジョンでも中継の様子をご覧になることができますので、ぜひ当日は平塚中継所へ足を運んでいただき、間近で選手に熱いご声援をお送りいただければと思います。
★中継所の準備で力を入れたこと
まず、選手のための対策として、自分の競技だけに集中できるように、例年十分ではなかった選手のための導線を、事前に関係各社との打ち合わせを行うことにより、広く確保をできるようになりました。また、近隣施設のご協力により往路・復路ともにあたたかい室内の選手待機場所(関係者以外立ち入り禁止)を設置するなど、できるだけ選手が体力を温存できるように手配をしています。
次に、中継の様子を撮影に来る報道者への対策として、87回大会より取材エリア(報道ID着用者のみ)を往路・復路ともに2ヵ所ずつ設置をしております。選手の姿を少しでも良いポジションで撮影していただけるように工夫をしています。
★中継所の見どころ・観戦にあたっての注意点
海岸線のコースは、晴天時には日差しが強く、体感温度は上昇します。風が吹けば向かい風になることが多く、選手の体力を奪います。脇には防砂林がありますが、風が強い日には砂浜の砂がコースにまで飛んでくることもあるので、スリップだけでなく選手の“目”においても強敵となり得ます。また、4区は箱根駅伝では唯一20kmを切る18.5kmのコースであり、見通しが悪くなる5区の中継までに少しでも前との距離を縮めておきたい重要な区間であると言えます。箱根駅伝で一番の景勝地である傍ら、自然の力に苦しめられることもあり、ペース配分や脱水症状対策にも注意が必要である区間になっています。
平塚中継所付近では、フェンスや看板等の公共物に登ったり、立ち入り禁止区域で観戦されているお客様が多く見受けられますが、落下して怪我をしたり、他のお客様とのトラブルになったりと大変危険ですので、おやめください。また、スタート・フィニッシュ地点・各中継所の前後100m以内では出場校を示すものの掲出はできないこととなっています。これらの注意事項の詳細は関東学連ホームページ及び公式プログラムにて掲載しておりますので、観戦の前にご一読ください。
箱根駅伝の沿道での応援に関するお願い(http://www.kgrr.org/attention-poster.png)
1年生から平塚中継所を担当し、2年生からは主任を務めてきました。当初は不安ばかりで、ただ準備に追われる毎日でしたが「あやねが一生懸命準備をして、それでもミスがあったら、そのときはいくらでも頭を下げるよ!」そのときの幹事長の言葉が今でも私の原動力となっています。
卒業後は、陸上競技とは全く無縁の業界への就職となりますので、この第88回箱根駅伝が私の陸上競技人生の締めくくりの大会となります。12年間続けてきた陸上競技を通して学んだこと、何よりも「感謝をする気持ち」を、今大会にすべてぶつけられるように万全の準備で臨みたいと思います。
みなさまの熱いご声援は選手たちの追い風になることと思います。ぜひ当日は沿道やテレビの前でご声援をお送りいただけると嬉しいです。