駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.265

第35回「98回大会を終えて」

本松 貫太

 駅伝ひろばをご覧の皆様、こんにちは!関東学生陸上競技連盟で幹事長を務めている、千葉大学4年の本松貫太と申します。4年間の時の流れの早さに驚きながら、98回大会最後の駅伝ひろばを書かせていただいております。

 私は、大学1年生の6月から学連幹事として活動を始め、最初は右も左もわからない中で、先輩方の背中を必死に追い続ける生活の中で、あっという間に時が経ち、気づけば上級生となっていました。今度は自分が学連幹事をまとめていく番だ、そう思っていた3年生になる直前で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まり、世の中が一変しました。

 主催予定であった競技会の延期や中止が相次ぎ、厳しい社会情勢に苦しめられる中で、学連幹事としての活動意義を見失いそうになっていました。

 そういった迷いの気持ちを感じながら時がたち、感染状況が一旦落ち着くと制限されていた社会活動が徐々に再開していく中で、陸上競技も活動が再開されていきました。

 しかしながら、そこに待っていたのは、大会を開催できることが「当たり前」ではない、大会を開催するために多くの難関を抱えた厳しい現実でした。こんな状況で大会なんかできるわけない、そう思った時もありましたが、ふとSNSを見たとき、そこには、厳しい社会情勢にも耐えながら、大会の開催を待ちわびる選手たちの素直な思いがあふれていました。私はその時、コロナ禍前にたくさんの感動を与えてくれた選手たちがこんなにも戦っているのに、自分が逃げてしまいそうな弱い気持ちが、とても恥ずかしいと思うとともに、微力でも自分のできることを精一杯やりたい、そう思わせてもらいました。

 そこから、20205月の開催を中止した第99回関東インカレの大会担当を任せていただくこととなり、「できない」から、「どうすればできるのか」という気持ちで、無観客や分散開催など、様々な工夫の中で開催する方法を模索しました。また、ただ縮小するだけでなく、混成種目の競技間を利用して、通常大会では実施していない「OP種目」の導入など、大会を待ってくれていた選手たちの力になれるよう、精一杯考えを巡らせました。

 第98回箱根駅伝も、新型コロナウイルス感染症の影響下での開催となりました。地域住民の皆様にはコース沿道での応援をお控えいただき、出場校関係者の皆様には各地点の来場制限や沿道での応援を強く自粛していただくよう求めるなど、窮屈なお願いを申し上げましたが、皆様の多大なるご協力のおかげで、無事に終了することができました。こういった難しい社会情勢においても、出場校は工夫して研鑽を重ね、3区間での大幅な区間新記録、復路新記録、往復総合大会新記録が生まれる等、選手達のレベルはさらに向上している状況に、ただただ出場校の皆様には敬意を表します。我々主催者も、困難な状況に対し、「どうすればできるのか」を追い求めるとともに、より気を引き締めなければならないと痛感しました。

 私は、この4年間で多くの出会いが生まれ、その出会いに大きく支えられた充実した時間を過ごしました。箱根駅伝をはじめ、「当たり前」に行われていると思っていた様々な大会や出来事がこんなにも多くの人々が関わり、「当たり前にする」ために力を注いでいることを改めて実感することができました。この4年間の経験は、誰にも負けない武器となり、一生忘れない財産となったと思います。

 さて、2年後には箱根駅伝も100回大会を迎えます。しかしながら、100回大会はゴールでもなければ目指すところでもありません。まずは99回大会が無事成功に終わるようしっかりと目を向け、101回、200回、1000回と大会が継続できるよう、この舞台で輝く選手たちの為に粛々と準備を重ねていくだけです。皆様に愛され続けられる大会づくりを今後も目指して参りますので、引き続きご協力いただけますと幸いです。

 また、これからも関東学生陸上競技連盟を、箱根駅伝をどうぞよろしくお願いいたします。