駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.264

第34回「『当たり前』の『有難さ』」

八尾 あす香

 駅伝ひろばをご覧の皆様、こんにちは!中央大学商学部4年の八尾あす香と申します。ついこの間まで1年生だったにもかかわらず、気がつけばあっという間に最終学年ということで、時の流れの早さに驚きを感じております。最後の学連日記は、新型コロナウイルス感染症をきっかけに感じたことを素直に書かせていただこうと思います。

 2020年、当たり前だった日常が、新型コロナウイルス感染症の影響によって奪われました。授業が終わって、事務所に向かい、業務に励む、という繰り返しが私にとって当たり前の日常でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、大会が相次いで中止となり、何か月も事務所に行くことが出来ず、先輩や後輩、同期に会えない日々が続きました。特に、毎日のように会って、家族よりも長い時間を一緒に過ごしていた同期に会えない日々は正直、本当に辛く、『今日、元気で生きていることも、大切な家族や仲間に会えることも当たり前ではない。そして大好きな陸上競技に関われることも、大会を開催させていただけるということも、決して当たり前ではない』そう強く感じました。それまで当たり前だと思っていた何気ない日常を失って初めて、その尊さや自分自身にとってそれがどれほど大切なものだったのかと気づかされ、『当たり前』とは『有り難い』ことなのだと、身に染みて感じた1年でした。

 先ほども述べたように、私達が箱根駅伝を開催できることは決して当たり前のことではありません。しかしながら、選手やファンの皆様にとっては、どんな状況においても箱根駅伝が当たり前のものであってほしいと思っています。お正月は家族みんなで集まってレースを観るのが当たり前となっている駅伝ファンの方も多いのではないでしょうか。箱根駅伝はこれまで、応援してくださるファンの皆様に支えられ、97回も開催させていただくことができました。これまで開催させていただいたこと、そしてなにより、ずっと支えてくださったことへの感謝の気持ちを忘れず、これから先もずっと、皆様にとって『当たり前の箱根駅伝をつくる』ということが学連幹事の果たすべき役割なのではないかと感じております。

 第98回大会も残念ながら、コロナ禍での開催となります。選手達は、これまでのように自由に走ることができず、窮屈で辛いと感じる日々がたくさんあったと思います。しかし、それでも彼らは前を向いて必死に走り続けてきました。そんな若者の勇姿を12日、3日はぜひテレビの前で見届けていただければ幸いです。

 最後に、好きなことに全力で取り組んできたこの4年間は私にとってかけがえのない宝物です。中学生の頃から憧れ続けた、学連幹事でいられる時間も残りわずかとなりましたが、いつもそばにいて支えてくれる大好きな同期と共に挑む最後の箱根駅伝、悔いの残らないようやり遂げたいと思います。拙い文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。