駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.267

第2回「静かな時を守る」

後藤 遥希

 駅伝ひろばをご覧の皆様、こんにちは!関東学生陸上競技連盟で常任幹事として活動しております、立教大学3年の後藤遥希と申します。時が過ぎるのはあっという間で、もう駅伝ひろばを書く時期になったのかと驚くばかりです。1年前の今頃、中学生の頃から何度も読んでいた駅伝ひろばへの掲載に緊張し、書いては消し、書いては消しを繰り返していたことを覚えています。月日の流れる早さに置いて行かれないよう、しっかりと日々の業務に取り組みたいと思います。

 私は、中学1年生の時に陸上競技部に入部し、陸上競技の競技会に関わるようになりました。選手として出場していた当時、レースの中で最も好きだった時間は、「On your marks」と言うスターターの声に合わせ、一気に静けさが訪れる時でした。それまで競技場に満ちていた競技会特有のざわめきが消え、自分の動く音、呼吸、一緒に走るライバルの気配だけが感じられるようになった時、緊張がするりと解けていきました。選手を引退した今も、その瞬間に抱いていたレースへの高揚感は鮮明に残っています。

 そんな私が学連幹事としてトラック&フィールドの競技会で担当することになった役職は、出発係でした。出発係は選手が最良のコンディションでスタートできるように、誘導やスタート時間の管理等を行う役職です。スタートの時は、リコールと呼ばれるスタートのやり直しに備え、スターターの後ろから選手の様子を見ていますが、スターターの合図によって静けさが訪れた時、選手の静かな闘志をひしひしと感じています。あの頃とは異なり、無事にスタートができるかを考えて緊張したままですが、今でも大好きな時間です。

 選手が努力の成果をレースで発揮できるように、その静かな時をきちんと守っていくことが私の役割だと考えています。資料の作成に手間取ってしまったり、当日、出発係の業務に没頭するあまり昼食をとり忘れてしまったりと、出発係となってから3年経った今でも、一筋縄ではいかないことは多々あります。また、今のスタートは、選手にとって良かったと思えるようなものだっただろうかと考え、悩むことも多いです。しかし、きちんと役割を果たし、良いスタート、そしてレースができたと選手に思ってもらえるように、これからも出発係として研鑽を積んでまいります。

 第99回箱根駅伝では、スタート・フィニッシュを担当する予定です。一瞬の静けさの後に繰り広げられる熱いレースを無事に迎えることができるよう、大会までの残り2か月、気を引き締めて準備いたします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。