駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.351

第9回「継ぐ」

桑原 悠真

 駅伝ひろばをご覧の皆様、こんにちは。

 一般社団法人関東学生陸上競技連盟で常任幹事を務めております、東京学芸大学2年の桑原悠真と申します。

 子供の頃から見ていた箱根駅伝の第100回という節目の大会に携わってから早1年。今年も駅伝シーズンが始まるとともに、2024年の終わりが近づいていることを感じる日々でございます。昨年度書いた駅伝ひろばでは、それを読んだ小学生の時の担任の先生からご連絡をいただくなど、箱根駅伝の絶大な知名度と影響力を肌で感じ、今年度も引き続き気を引き締めて業務に励んでいく所存です。

 今年は日本学生陸上競技連合(以下、日本学連)の副幹事長となり、2024日本学生陸上競技個人選手権大会や第93回日本学生陸上競技対校選手権大会で副総務を務めました。主な業務としては、大会プログラムやポスターなどの印刷物の作成、学生審判員と学生補助員の派遣などを担当しました。大会当日にプログラムに不備が見つかるなど課題も多く残りましたが、U20日本新記録や日本学生新記録が樹立されるなど、選手たちの頑張りにも励まされながら無事に終了することができました。

 そのようなトラック&フィールドのシーズンも終わり、いよいよ駅伝シーズンが始まりました。今年も日本学連の主催大会である出雲駅伝、全日本大学女子駅伝、全日本大学駅伝を経て、沿道での熱い応援や各チームの絆、そして世間の盛り上がりなどを感じ、改めて駅伝というものの素晴らしさを実感しております。

 駅伝は皆様もご存じの通り、チームでたすきを継いでフィニッシュを目指しますが、レースが始まる前に行われているのがたすきの検定です。たすきの大きさは長さ1.6m1.8m、幅6㎝以内という規則が定められており、それに則しているか1本ずつ測って確認していきます。このたすきの検定をする中で目に留まるのが、たすきの裏面に書かれた各チームのメッセージです。部員1人ひとり名前を書いたり、チームのスローガンを書いたりとメッセージの書き方はそれぞれですが、たった1.8m×6㎝の中に各チームが想いを込めて書き記しています。当日出走する選手だけでなく、出走が叶わなかった選手や、選手たちを支えるスタッフなどチーム全員の想いが込められたたすきをフィニッシュまで「継いでいく」のです。

 我々の活動と駅伝に共通するのが、この「継ぐ」ということではないかと感じています。箱根駅伝のような歴史ある大会も、過去の先輩たちが伝統を継承し、時代に合わせて形を変えながらも、いま我々のもとに引き継がれてきています。我々も学連幹事として活動できる4年間という限られた期間の中で、先輩たちから様々なことを引き継ぎ、時には改善し、そして後輩へと引き継いでいかなければなりません。業務の概要や注意点、また昨年度の課題などを引き継ぎ続けることで、毎年学連幹事が入れ替わりながらも大会を開催することができます。

 箱根駅伝は第100回大会という節目を終え、第101回大会へと引き継がれます。駅伝のたすきリレーとは違い、箱根駅伝の継承にはフィニッシュがないかもしれません。むしろこの箱根駅伝の伝統を止めないために、そして歴史を継承していくために、我々は今年度も誠心誠意努めてまいります。箱根駅伝を「継ぐ」一員として活動できていることに感謝と喜びを持ちながら、ご支援・ご協力を賜る関係各所の皆様、沿道やテレビの前でご声援をいただく皆様とともに第101回大会を創り上げてまいります。各チームの想いをたすきに込め、101回目の箱根路を駆ける選手たちにご注目ください!