駅伝ひろば箱根駅伝を支える学生たちが書いてます

No.236

第6回「活躍できる場を求めて ~選手から裏方へ~」

樺沢 帆乃佳

 駅伝ひろばをご覧の皆さま、はじめまして。

 関東学生陸上競技連盟で常任幹事を務めております、東京女子大学現代教養学部心理学専攻2年の樺沢帆乃佳と申します。大学では、心のメカニズム、他者との関わりや集団の中での心のはたらき、心の発達や変化の過程とその仕組みの理解、さらには障がいや悩みを抱えた心とどう向き合うかなど、人間のあらゆる活動を支える“心”について多角的に学んでおります。

 私は、元日に行われます全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)の開催地である群馬県出身です。自宅の近くがコースとなっているため、1歳のころより沿道で応援しておりました。目の前をものすごいスピードで走り抜ける選手の方々の熱量を肌で感じ、感動を覚えたものです。そして、1月2日、3日は家でのんびりと箱根駅伝をテレビ観戦することが年中行事でした。このような環境で育ったため、小学生になった私は自然と陸上競技(長距離・駅伝)を始めていました。そんな私が中学2年生の時、なんとニューイヤー駅伝のフィニッシュテープを持つ役目を頂いたのです。目の前を走る選手を沿道から応援することだけで満足していた私にとって、夢のような話でした。ゴール予定数時間前にスタッフルームに行き、説明を受けたのですが、想像を超える多くの方々が慌ただしく準備をしていました。そこで初めて、「たくさんの方々に支えられて素晴らしい駅伝が出来上がるのだ」と実感させられ、この時から裏方の仕事に興味を抱き始めたのです。

 中学時代に駅伝では全国大会入賞を経験しました。しかし、個人では全国の舞台に立つことが出来ず、己の限界を感じるとともに、自分には競技者としての才能がないことを自覚しました。そのため高校では陸上競技から離れていたのですが、高校3年生の時に姉の友人から関東学生陸上競技連盟常任幹事の存在を教えていただきました。「あの箱根駅伝などに携わることができる!」この時、私は心の奥底から陸上競技が好きなことがわかりました。そして私の新たな目標ができたのです。関東学連常任幹事になって箱根駅伝をはじめ、学生の様々な大会に関与する事・・期待に胸をふくらませ大学に入学しました。しかし、私の夢は入学直後に崩れました。なんと入学した大学には陸上競技部がなかったのです。関東学連に所属すらできない現実。でもここで諦めることが出来なかった私は、コロナ禍のため大変でしたが入部希望者を集め、陸上競技部を設立したのです。そして、今の私がいます。想像以上に大変な業務が多いですが、やりたかったことに毎日携われていることに満足し、充実しております。

 そして、『箱根駅伝』がもうすぐやってきます。選手にとっても私たち裏方にとっても晴れ舞台。箱根駅伝当日は平塚中継所を担当する予定です。現在は楽しみよりも不安の方が大きいですが、一つひとつ丁寧に心を込めて準備を行い、当日を笑顔で迎えたいと思います。箱根駅伝に携われる幸せ、裏方として活躍できる場を与えてくださる環境への感謝の気持ちをかみしめながら、素敵な1月2日、3日を過ごします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 選手に皆様の熱いエールが届きますよう、当日はテレビやラジオからのご声援をよろしくお願いいたします。

 ~~応援したいから、応援に行かない。~~